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お久しぶりです

久しぶりに小説投稿以外の記事でも。

といっても以前書いたニ作品の補説なのですが。

・獣にあらじ
武田の小説です。趣味全開です。

しかし就活中に気晴らしに書いたため、
ところどころ怪しい表現が……

竹田の栗毛はどうやら「滑走」するらしいです。
まあ、やらかした感マックスですね。

内容としては、信玄が父信虎を追い出すまでの小説ですね。
続きを書かねばと思いつつ、(書いてはいるのですが)
卒論に追われておりやばい状態です。

うん、物事は計画的にせねばなりません。

一般的に言われているように晴信は自信満々というよりも、弟に劣っていると思っていると感じています。
父親には邪険にされ(砦攻めたのに褒めてもらえなっかったり)、弟の方が頭よさげに評価されているし。

少しは自信喪失するのではと思うわけです。

そんなところから獣にあらじという小説を書いてみようと試してみている次第です。

もともと倉庫みたいなブログなので、のんびり書き上げていきたいなと思っています。



・面白き世に笑う。

これは一般知名度がないに等しい岡部正綱さんが主人公です

なんというか彼はもっと評価されるべき武将なんですよ。
・初陣で兜首を二つ取ってくる
・武田の駿河進行の際にも最後まで今川館にたてこもり、信玄に良い将は得難いから、と降伏後に登用されたり
・憶測でしかありませんが、弟の元信が対徳川の要衝であった高天神を任されているあたり、彼も十分信任が厚いだろうことは予想できます。
・そして小説でも書いた天正壬午の退き口です。しかもそのあと武田遺臣の調略に活躍しています

だというのに、KOEIの某野望では糞みたいな能力値だったり、
SEGAのATCGでじゃSSQ発動して何故かジョッキー姿にされていたり(弟はレアカードなんですがね)。

いや、なんだか泣きそうな程に扱いが酷い。

その理由は彼の処世術にも問題があるのではと思います。
今川から武田、武田から徳川と結構鞍替えしているのです。
藤堂高虎は「七度主君を変えねば武士とは言えぬ」といったように、
当時は普通に鞍替えしていたのですが、現代日本でやるとどうにも裏切りという印象が拭えません。

その点山中鹿之助や真田信繁なんかは人気高いですよね。

まあ乱世では当たり前の手法だったのですが、現代では人気でないのはさもありなんですね。
でも一応彼の場合、主家が滅ぶぎりぎりまで仕えているので、結構義理堅い印象も受けます。

そんなイメージから今回の小説の正綱さん像が出てきました。
いつでも今川義元の教えを忘れずにといった感じです。
戦場で奔放に振舞ってそうなそんな生き様の岡部正綱さんの小説でした。

これを機に岡部さんのファンが増えるといいなー


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面白き世に、笑う。

「報告。後方二里、北条氏邦(ほうじょううじくに)率いる四千。更に猪俣(いのまた)邦憲(くにのり)、北条氏直(うじなお)の本隊二万余りの大軍が続いております」
「ご苦労、本隊にも伝えてくれ」
 大軍の割にやたら行軍が速い。以前よりも更に練度は上がっているようだ。岡部正綱(まさつな)は伝令の報告から想定していた北条方の進軍速度の認識を改める。
 行軍を止めぬまま正綱は韮崎(にらさき)に至るまでの道程を思い浮かべ迎撃に適した地点を思案する。徳川軍の最後尾で殿を務める正綱が率いる兵は僅かに三百。被我の兵力差で闇雲にぶつかれば、時間を稼ぐ間もなく壊滅する。ならば隘路、もしくはこちらの兵数を悟らせぬよう山か森を背にしたい。
 だが退路にあるのは諏訪盆地と甲府盆地を繋ぐ広い道しかない。川もあるにはあるが流れも遅く細い川だけ。
「どうしたものかな」
 小声で一人ごちる。背水の陣を敷いてどうなる状況でもなし。寡兵で攪乱し動きを制限するしかないが、それが今最も難しい。
 全く。今川、武田、徳川と幾度鞍替えしても統率が取れた北条勢を毎度相手取らねばならぬとはつくづく運がない奴だ、と正綱はどこか他人事のように思う。
 そう感じたのは何故か。予断を許さぬ切迫した状況にも関わらず、不思議と動じぬ自身を正綱は楽しんでいる。
 率いる手勢は三百。対するは背後に万を擁した四千。加え徳川家康から預かった任は、隊全ての命運を担う殿だ。
 失敗は即ち死。
 それでも、凪いだ春の晴天のように正綱は自若としてある。気負いはなく、ここで何としてでも生き延びてやろうという焦りもない。胸にあるのは、如何に武略の粋を集め敵を足止めるかだけ。それ故にか。
「殿、何故に笑うておりますか」
 自明ならざる問いを前にし、なお自問する正綱は部下の剣持(けんもち)右衛門に不意に問われ、自らの顔に手をあてる。
「右衛門、俺は笑っていたか」
「それはもう楽しげに。普段から飄々としておられるが、殿は敵を前にしておられる時が最も不敵ですな」
 がはは、と愉快そうに笑う剣持に正綱は、改めて自分が笑っていることを自覚した。万死避け得ぬ危機を前にして笑う、思わば自覚せぬだけで正綱は初陣の時より笑っていたように思う。ああ、なんだ笑えていたのか。ならばこの余裕も、納得出来る。
「みなのもの、聞け。我等を補足せんと猪武者の氏邦がたかだが四千を率いて追ってきておると報告があった」
 剣持が士気を上げんとしているのだろう。肝が小さければ身震いしかねない情報を考えもなく叫ぶ筈もない。その傍らで正綱は感慨深く西に傾き始めた陽を仰いだ。
「狼狽えるでない。報告を聞き我等が殿は大笑しておる。そう、恐れるに足らずというやつだ。関東籠もりの穴熊風情、小田原の巣がなければただの鼠も同然じゃろうが」
 またしても、剣持は開けっぴろげに大笑いしてみせる。
 振り返らずとも兵の畏れが薄まっているのを感じた。良い主君に仕えてきたが良き家臣にも恵まれた。正綱はなくなりつつある兵の恐れを消すため殊更に笑いながら言う。
「なあに。信玄公を相手取った時よりはまだ易い。虎に勝った男に率いられて鼠に怖じ気づく奴はいないよな」
 問い掛けに兵は勇ましい声をあげ、槍を掲げた。たかだか三百が出せる音、だが確かに万にも匹敵する鬨を正綱は聞いた。迎撃地点は、小淵沢(こぶちざわ)。正綱は兵の意気軒昂なる様を見てそう決めた。
 
 さて、此度の正綱の退き口。事の起こりは本能寺にて織田信長が横死を遂げた天正十年の秋、織田が併呑した旧武田領の甲州、信濃で三つ巴の争いが勃発したことから始まった(一連の出来事は天正壬午の乱の名で知られている)。
 武田最後の当主である勝頼に当主氏政の妹をやったことを理由に旧領領有を主張し、関東一円の支配をより盤石にせんがため大軍を動員した関東の北条。
 武田の遺領であるかの地は、信玄の娘の嫁ぎ先である我等のものと北信濃へ兵を進める越後の上杉。
 そして織田飛躍の時より同盟を堅持し続けた徳川は、織田遺臣の混乱を好機と見、次代の主役へ躍り出るべく精強な三河武士を率いて甲州へと進出していた。
 それぞれの建て前と思惑を持ち各々各地を切り取る三者だったが、独立勢力として中立を保っていた上田の真田が北条に降伏、加え上杉が北信濃以南への不可侵を条件に北条へ和睦を持ちかけることで状況は一変した。これ幸いにと北条は対上杉のために信濃へと回していた兵を甲斐侵攻へ向ける。その数およそ四万。関東の雄に相応しい圧巻の兵数であった。
 
 韮崎より北西、諏訪湖近くの高島城を包囲していた徳川方に北条上杉和睦の知らせが届けられたのは攻囲二日目の朝早くであった。
「急ぎ撤退の用意を」
 徳川家康は帷幕に集めた諸将に重々しく告げた。軍議の結論は一も二もなく撤退だ。むべなるかな、徳川方は既に甲府に続き、韮崎まで占領するも総勢で一万余り。諏訪に率いてきた兵に至ってはわずか三千。一度態勢を整えねば万に一つの勝ちもない。
 家康は内心で歯噛みする。真田があと数日粘れば、上杉がもうしばし講和を長引かせれば、北条に対する対応ももっと徳川に有利な形で行えただろうに。だが遅きに失せば全滅の憂き目にあう戦局だ。判断に間違いはない。今は粛々と退却の用意を整えるだけだ。
 懸念があるとすればだ、
「殿には拙者が」
「いや、酒井殿も年だ。ここは我等大久保一門が」
 退却のために 誰を殿として捨て石にするかだ。
 攻城兵器と荷駄を残し速やかに撤退にかかるよう伝え終え、いよいよという段において家康の憂い顔から察したのだろう。勢いよく身を乗り出したものが二人もいた。
 酒井忠次と大久保忠世(ただよ)。人質時代より家康を助けた譜代、そして三方原の惨敗をともに味わった股肱の臣でもある。
 自身には過ぎた良い家臣を得たものだ。徳川主従を結ぶ最も深い繋がりは禄でもなければ恩賞でもなく絆である、と家康はこの二人を始めとした多くの将に対しそう感じている。織田に臣下同然の同盟関係を強いられ、武田に対して何ら有効な手立てを打てずになすがままにされた。それでも徳川を見捨てず付き従った家臣達だ。
「殿のためならば、この忠次、命を惜しまぬと常々申しております。何卒」
 それ故に、彼等は家康の苦悩を汲み取り殿を買って出る。
「我等も受けたご恩があります。この窮地にこそ大恩を返せるというもの」
 故に家康はより一層の苦渋を強いられる。此度の退き口、土地勘もない徳川方では三方原よりも凄惨なものとなろう。無論、殿は十中八九討ち死にする。
「あー、盛り上がっているところ申し訳ないが、お二方。ここは新参者に武功を譲って頂けなないか」
 どちらかを選ばねばならぬが、選びたくはない。そんな童のような願望を抱く家康に助け船を出したのは思わぬ男だった。
 岡部正綱。今川人質時代の友で、武田信玄の信任が厚かった将だ。下手に振る舞おうとしているが、正綱の生来の不敵さに、忠次は眉をひそめ、忠世はあからさまに不機嫌な視線をぶつけた。その視線を正綱はどこ吹く風と受け流し口上を続ける。
「両名が俺よりよっぽど戦が上手いことは信玄公の所にいた時に充分と思い知ってるんだが、如何せん慣れない土地だ。勇将であればこそ罠にはまりやすく、知将であればこそ動きが鈍る」
「我等が北条如きに遅れを取ると申すか」
 遠まわしにけなしているようにも聞こえるがもっともな論に忠次は納得したようだが、忠世は激昂を以て応酬した。
「そうじゃなく。ことこの戦においてはあんた達より俺のが上手くやれると言っているだけで」
「我等が弱いと言うているのと変わらぬぞ、正綱殿」
「だから、違う。三河侍に山の戦を任せた日には――」
 大久保忠世は政務に長けるが、元来根は熱い三河武士なのだ。正綱の柳に風のような態度とは相性が悪い。
「時がありません。新府城へ撤退するにしても距離は十五里。一日かけ通さねば着けませぬ。また、上野からも北条が迫り東西に挟まれる前に城を固めねばならない状況。決断をして頂けないのであれば拙者が殿ということで話を進めます」
 言い争いを続ける二人を横目に煮え切らぬ態度を取る家康を忠次が急かす。丁度良い、割り切り、切り捨てろ。忠次が言外に込めた意味を家康は唾を呑み込み受け止めた。
「ええい、これ以上侮辱するならば刀の錆びに――」
「怒りは敵だ、抑えろ」
「も、申し訳ありませぬ殿」
 押し問答に遂に堪忍袋の緒が切れたらしい忠世は刀に手をかけ、それを家康は短く押し止める。不服そうな忠世を目で黙らせ、家康は正綱へ視線を向けた。
「正綱。頼めるか」
「あいよ、大将」
 出来るだけ簡潔に、家康は正綱に伝えた。大久保、酒井の二人に比べれば格段に心の持ちようが楽だった。そのことに少し嫌悪。だが、それ以上に非常であれと、為政者としての声が呼びかけた。
 ああ、それでもなお。徳川家康は煮え切らない。
 殿も決まり、各々撤退への準備を始め閑散とした帷幕の中で徳川家康は一人動けずにいた。
 降伏したばかりの武田遺臣だ。死を秤にかけてでも武功をあげたがる。それだけではないか。しかし、いくら言い訳を並べようと、かつての友よりも家臣を取った、その事実は変わらない。
「正綱? 何をしている。早く準備を」
「ああ、やはり変わってない。ここ一番で弱気な面だ」
「なっ!」
 一人鬱々と思考を回していた家康のもとに不意に訪れた正綱は無礼千万、知ったことかと家康の弱みを突いてきた。
「別に怒らせにきたわけじゃない。ただ暗い顔をしてたんで、思い出させにきただけだ」
「なにをだ」
 憮然とした様子で放った言葉を正綱はさして意に介した様子もなく、目をつぶりながら語り出した。
「笑え、竹千代。笑っている限りは死なぬ。笑わねば大事なものを見失うぞ。世は面白きものなのだから」
 得意げに正綱が諳んじた言葉は、家康にも聞き覚えがあった。かつて自分が竹千代と呼ばれていた頃の記憶。
「我等が殿が教えてくれたことだ」
 我等が殿。正綱と家康が仕えていた人物など一人しかいない。海道一の弓取り、今川義元。思い出す、その堂々とした様を。思い出す、夢を諦めなかった後ろ姿を。対して今の自分はどうであるか。
「俺は笑うぞ。まだ死にたくないからな。だから、殿。先に新府で待っていてくれ」
 言いたいことは言い尽くしたのか、正綱は後ろ手を振りながら、帷幕を出て行った。笑え、か。
 少し可笑しくて笑った。弱気な自分はこんな風に家臣や友に押されながら、それでも着実に前進んでいるのだから。いずれは天下までにも……。そのために、まずは逃げよう。先刻までの自分を忘れ、家康は小姓達を急かし始めた。

 小淵沢は諏訪盆地から甲府盆地への玄関口となっている交通の要衝だ。東に八ヶ岳、西には笠置山を抱えるも道は開けており、寡兵で北条を迎えるには適さない地。敢えて利点を挙げるならば、なだらかだが高低差のあること、領内を小さいがいくつかの川が流れていること、そして今は無人の村落があることか。戦の度に自身の村から避難し、山や森へ逃げ込む村民には申し訳ないが使えるものは全て使わねば勝てない。
「殿、配置全て完了致しました」
「ご苦労。手抜かりは、なさそうだな」
 あたりは既に薄暗く、正綱は篝火を灯した簡易な陣所で小鹿又五郎を迎えた。仏のように薄く開いた目とにこやかな表情を決して崩さない柔和そうな男ではあるが、家をいくつも渡り歩いてきたこの謀略家は癖が強い。
「もちろんですとも。本陣がありますここから右手の集落に大塚殿。少し手前、最も渡河に適しているだろう場所には堅実に桜井殿を。田畑には分散させて、奥山殿と笛吹殿を潜ませました。そしてすぐ左手、肝入りのかの地には声がやたら大きい剣持の鉄砲隊を。各隊五十名、計二百五十名を配置致しました」
 高所から小鹿の指差す先を見る。各将の配置に対し正綱がいる本陣は八ヶ岳山麓に広がる森林を背にした高台。ここに至るまでの道も足場が悪い隘路だ。正綱が寡兵で敵を迎えるならばと考えていた環境。だが、眼下にある街道からは大きく外れ無視しても問題のない地である。如何にして、この場所に敵を引き込むかが戦の肝だった。
「火薬は足りたか?」
「高島城に置いてくる筈だったものをありったけ持ってきたので、十二分に行き渡っております。鉄砲手にも仕掛けにも。また殿のご命令通り、先刻近藤、内藤を含む二十名に敵の威力偵察を行わせました。しかし、良かったので?」
「なにがだよ」
「威力偵察などすれば敵にこちらの居場所と数を知らせるようなものです。寡兵故に奇襲ならば勝ち目はありますものの、警戒されては我等はより苦しくなるのでは?」
 小鹿の指摘は最もだが、 こういうところが長年一所に留まれなかった理由だろう。直接的な諫言をされれば、狭量な主君ならば疎んじ距離を置く。
「又五郎。お前はいい将だ。頭も切れるし、ここ一番で勘が働く。だがな、勝てばいいってもんじゃない。局地を制するよりも各々の役割を果たした方が良い戦もある」
「それが殿の戦というものですか」
 察しがいい。正綱の言わんとしていることを言わずとも当てて見せる。この慧眼の才から口の悪さが抜ければ何処へ行っても通じるだろうに。
「そういうことだ。ここで勝てても敵を百、二百減らせるだけ。なら慎重に慎重を重ねてもらって時間を稼ぎ、たまに突き崩す。立て直す間に俺達は逃げるという寸法だ。それに今回は少し事情が違う。多少の損害は気にせず北条は夜を徹してでも韮崎へと兵を進める筈だ」
「大軍であること。時の利。そして大殿の首ですな」
「御明察」
 あくまで偵察は敵の兵馬の疲れを測るため。これで小鹿の言うように威力偵察で北条が警戒し、行軍速度を遅めてくれるならばそれこそ正綱の思う壺だった。
 北条が休まずに進軍してくる理由。それは少々の損害には目を潰れる数の優位。甲州各地に散らばった徳川軍をこちらが集めるまでに生じる時の利。加えて今、家康の首を守る城壁もなければ守護する兵数も心もとない。
 これだけの好条件を前にしてたかだか三百に足を止めていたのでは、北条は一生をかけても天下、いや関東すら手に入れられないだろう。
「それにな、二十人だけなら敵も油断するかもしれない。なんってたって俺達の総兵数はその十五倍だからな」
「いえ、北条がそのような甘い考えを持つとは……」
 冗談も通じない。そのことに苦笑しながら正綱は息を切らし駆け寄ってきた兵士を迎えた。
「ほ、北条氏邦隊、まもなく小淵沢へと入ります!」
「い、いよいよですか」
 準備は万端。それでも小鹿の顔は緊張に強張っている。召し抱えて五年が経つが、こんな表情は初めて見る。
「又五郎、顔が固いぞ。笑え」
「笑えるものですか、十倍以上の敵ですぞ」
「いいや、笑うんだ。俺も怖いが、笑い続けてる限りは死なない。だから笑え」
「…………くっ、はは。我が殿は天邪鬼だ」
「そうだ。だから、お前みたいなひねくれた奴も扱える。さあ、又五郎、配置につけ。戦だ、笑え」
 陽が西の空に落ちた。宵闇の奇襲が吉と出るか、凶と出るか。しばしの間を置き正綱は、その思考を一笑に付した。

「敵の攻撃による損害は負傷者四人。規模も十数人と少なく、あくまで偵察程度のものと思われます」
 前線で起きた戦闘の報告を受けた北条氏邦は、反応を伺うようにこちらを見る伝令の視線を気にせず、少し黙ってから口を開いた。
「この先の地形はどうなっている?」
「は、はっ。この先の小淵沢は小さな河川が点在している場所で、比較的開けた土地で東の高台からなだらかな傾斜がある模様です」
 氏邦は再び沈黙。馬上で揺られながら考えをまとめる。
 徳川軍まであと一里というところで急に伝令が戻らなくなった。斥候もまばらに、わき目もふらず逃げていた軍隊が急に落ち着きを取り戻した様(さま)に氏邦は警戒心を覚えた。
 地形的に敵がこちらを迎え撃つには適していない。氏邦の後方には甥の氏直の二万三千が続いている。兵数の差が如実に出る場所で敢えて仕掛けてくることはないだろう。
 万が一敵が反攻してきた場合、不安要素があるならば二つ。現在黄昏時、家康を捕捉しようと軍を進めるならば小淵沢のあたりで、宵になろう。夜陰に紛れての奇襲で混乱に陥れば、大軍であることがかえって不利になる。追撃するにあたり荷駄は最小限。松明も充分にあるとは言えない。
 そしてもう一つは、この先で待ちかまえているやもしれない敵の規模を、氏邦が掴めないでいることだ。家康は韮崎に向かっている。そう思わせ、焦って追撃を仕掛ける軍を三千で迎え撃てば、どうか。不意をつかれる形でともすれば、こちらの壊滅もあり得る。しかし、またとない好機であるのも事実。
「氏邦殿、なにか悩んでおられるようですが」
 如何にすべきか、思考の連鎖を断ち切ったのは、寄騎として従えた太田弥九朗(やくろう)だった。
「あと少しで小淵沢へ入ります。どうされますか?」
「弥九朗、勘に従うか、理性に従うか。どちらを選ぶ?」
「この先に兵がいると考えておるのですか」
「故に問うている」
 突然の問い掛けに弥九朗は数瞬困ったようにうつむき、答えた。
「まもなく宵、軍を統制するのも難しい刻限になります。そのような時に如何に理詰めで動かれても、誤りが出ましょう。まして戦は常に不測と隣合わせ。なればこそ氏邦殿の戦勘にかけるべきかと。細かい理働きは私が致します」
 この壮年の武者の言うべきことに見るものがあると、氏邦は納得し下知を下した。
「これよりいくつか渡河地点がある。それに備え全軍を二つに分ける。前方に儂が、後方二千の指揮は弥九朗、お主に任す」
「承知仕りました。伝令を密にし、頻繁に互いの状況を確認出来るようにしておきます。また本隊にもこれより、会敵するやもしれぬことを伝えておきましょう」
 そう言い、弥九朗は後方へと下がっていった。
 次いで氏邦は、分けた前軍に向けて以下の通達をした。
 一つに、田畑を荒らしたものは厳罰に処す。二つに、各部隊合言葉を徹底させること。そして三つに、徳川の将の首は普段の十倍の金で買い取るということ。
 値千金の首がこの先にいる、そう意気込んだ兵士達の士気は如何ばかりか。旺盛な士気と大軍を以てすれば、小手先の策など打ち砕ける、と氏邦は少々の慢心を伴って小淵沢に入った。
「三千はいないようだな」
 案の定、兵はいるようだ。川のせせらぎの音に紛れて、感じる息遣い。軍を分けた北条軍をすぐに攻めて来ないところを見るに、一番懸念した家康本体が待ち伏せていることはなさそうだ。
 だが、暗がりを照らす松明も十分ではなく、居場所を突き止めるまでには至らない。兵士達の熱気も、何処に潜むか分からぬ敵に神経をすり減らし、いくらか冷めてきているようだ。氏邦は背中に冷たいものを感じながらも、すぐに指揮を取れるよう敢えて下馬せず渡河を行った。
 五つ目の川を渡河し終えた時だろうか、東の方、高台の方より太鼓の音が響いた。その音に氏邦は嫌な記憶を思い起こす。三増峠、かつて武田信玄に惨敗を喫したその時も、太鼓の音が響いていた。
 甲州流軍学の指揮の取り方は多岐に渡る。掛け声の長さや大きさ、狼煙の色と時間、そして鼓の叩く回数、間隔。それら全てにこちらには分からない言葉が隠れているらしく、悪条件でも精密な軍の指揮を執ってくる。
 動くか、そう身構えた氏邦の後方で槍を打ち付け合う音と、喊声が聞こえた。しかし音は小さい。
「狼狽えるな、敵は寡兵ぞ。陣容を乱さず、一人一人討ち取れい」
 冷静に下知を加えながら、氏邦は鼓の音と周囲の音に集中する。これで敵の攻勢が終わる筈がない。
「伝令、後軍全軍を以て高台で鳴る鼓を止めさせて来い」
 高台に至るまでは隘路。寡兵で迎え撃つには最適の環境だ。総勢で五百もいないことは既に伺えたが、敵の動きは寡兵で大軍を騙くらかさんとする、戦巧者の采配だ。狙いがなんであれ思惑諸共数で押し潰す、それ故の後軍二千全てを向かわせた。弥九郎ならば氏邦の采配の意味を理解し動くことだろう。過剰とも思える兵の派遣を命じつつ、しかし、周囲の戦闘、その一つ一つに具体的な指示を下す。
 また太鼓が響く。二連続の鼓の音が数節繰り返された。
「伝令、敵軍田畑のなかより弓による奇襲」
「踏み荒らさぬよう畦道を使い包囲せよ」
 村人の反感を買わぬようにと、配慮したことが見破られているのか。複数の伏兵が田畑を往来しているようだ。
 続く鼓は大きく間を開けて三打、その繰り返し。
「村落より複数の部隊が現れ、こちらに被害。敵は二百ばかりいる模様」
 多い。途上見てきた家屋にそれだけの兵数を潜ませる余裕はないように思えた。
「同士討ちをしている危険がある。先刻伝えた合言葉の確認を徹底させるよう各部隊に伝達。よいか、多くは語らず合言葉を思い出せ、と簡潔に伝えよ」
 鼓の叩かれる間隔は変わらず、しかし敵の掛け声が独特の拍子を取って小淵沢を埋め尽くした。それに呼応したかのように伝令が駆け込んできた。
「先頭より報告、渡河後を狙われ孤立しているとの由、至急援軍を」
「三郎、急げ。これまでの動きを見るにおそらく敵はあまり多くはない。混乱を収め、渡河地点を死守した上で背水の陣を敷くよう指示を。すぐに後続を向かわせる」
「はっ」
 脇を固めていた小菅三郎に命令を下す。
「田畑から火の手が上がっております」
「風はない。少数に分断されぬようにだけ配慮し、この先の窪地で兵を集合させるように伝達だ」
 嫌らしい手だ。大軍の手の届かぬところをちくちくとちょっかいをかけてくる。だが、熊に蜂の針が通らぬようにこの攻勢に氏邦が率いる二千は大きな打撃を被っていない。鼓の音、そして敵が歌いかわすようにあげる喊声さえ消せばこの一連の攻勢は止むだろう。まずは鼓を断つ。然る後に、各個撃破。敵大将に迫る軍としては丁度よい前哨戦となるだろう。
 そう、確かに氏邦の采配は適格であった。大軍故に滞りやすい各部隊の指揮もこなし、正綱が狙っていた同士討ちなどの混乱も最小限に抑えられていた。
 唯一誤算があったとするならば、
「鉄砲の音? 高台の方からだと」
 大軍の力を過信し過ぎたことだろうか。後軍が向かった東の高台から銃声。音に反応し振り向いた氏邦が見たのは、弥九郎率いる後軍に四方八方から光と音が襲いくる様だ。まさか、これ程の伏兵がいたとは。高台にいる兵士は鉄砲の発射音から数にして、六百はいるだろうか。潜んでいたとしても二百程度。氏邦の致命的な読み違えをあざけ笑うように、天をも響(どよ)もさんばかりの名乗りが小淵沢に響いた。
「敵将、太田弥九郎打ち取ったぁ! 北条の弱兵共、岡部正綱配下、剣持右衛門まだまだ斬り足らぬぞ、かかってまいれ!」
 それは味方の士気を挫くには十分であった。弥九郎が打ち取られた。直ちに後軍をまとめねば壊滅する。
「前軍に通達する。一度、進軍を止め、儂がおる平地まで集合せよ。後軍を救出する」
 部隊の再編に半刻はかかるだろうか。負けてはいない。そう氏邦は必死に言い聞かせたが、噛み締めた唇からは血が流れていた。

「戦は如何でしたかな」
 北条軍を一度は退け、韮崎へ退却する途上異臭を感じた正綱は荷駄隊に遭遇する。無論味方なのだが旗指物には北条の家紋である三つ鱗が描かれていた。率いる将は新府城で待機している筈の本田正信であった。正綱はいささかこの男が苦手だった。腹に一物を抱えているのはいいが、それを味方にも明かさないような奴は信用がならない。自然、正綱の言葉にも固さが混じる。
「殿の知恵袋がこのようなとこで、我等になんのようで」
「一計、携え参りました。聞いて頂けませぬか?」
「それは家康様の命ですかな?」
「殿が望むこと、とだけ申しておきましょう」
 要するに独断専行か。正信の発言の意味に気付いた剣持は、露骨に顔を怒りに染めるが、正綱は敢えて無視をし、正信との会話を続ける。
「それで、一計とは?」
「ああ、そうでしたな。殿の務めを大いに果たされた岡部隊にこのまま、山中に潜って頂きたい。殿は既に新府城に入られました」
 敵指揮官を討ち取ったとは言え与えた損害は僅かなものだ。そもそもが薄氷を渡るような勝利。火薬箱への着火と鉄砲の一斉発射で、数を誤認させ敵将の首を取っただけだ。剣持が、予想以上に早く馬上で的確な指揮を行い始めた太田某を討ち取っていなければ、半壊していたのはこちらだ。だから、あと少なくとも一戦、多くて三戦は足止めのためにする必要があると考えていただけに、正綱は正信の言葉を訝しんだ。本隊の進軍速度が早過ぎる。有利な迎撃地点を探るために途上まで家康の本体と共に退却を行っていたが、あの進軍速度ではまだ長坂(ながさか)辺りではないだろうか。
「如何されましたか?」
「いや、なんでもねえ」
 疑念が顔に出ていたのだろうか。正信が正綱をしげしげと見つめてきたが、咄嗟にごまかす。たとえ城に戻っていなくとも、この男が家康を危険な目に合わせるとも思えない。撤退までの目処はついているのだろう。
「山に潜む理由は、兵站の攪乱で?」
「話が早い。北条の大軍と正面切って戦いたくはありません。そのため、こちらは籠城、遅滞を使い戦線を膠着させます。その間、兵站の襲撃、そして未だ去就を決めかねている豪族、武田遺臣の調略をお願いしたい」
 土地勘があり、地元の兵にも顔が利く。正綱に白羽の矢を立てた正信の目は癪だが狂いはない。
「承知した。その代わりこちらの負傷兵の手当てを頼みたい」
「もとよりそのつもりですから。殿には正綱殿の働きを十二分に伝えておきましょう」
 屈託なく笑う正信を見て、正綱は落ち着かない思いがする。狐や狼が笑っているようなものなのだ、裏で取って食われる算段を整えられてやしないか不安になるのも無理はない。正綱は話を逸らすように先程から気になっていた物を指差しながら尋ねた。
「それと、この異臭はあの荷駄からですかね。何を積んでおられるので」
「ああ、糞と火薬ですな。少し小細工を弄してこようと思っただけ。お気になさらずに」
 悪寒が走った。どうせ策は喋らないだろうが、正綱は探りを入れるため、今思い出したように相談を持ちかけた。
「ああ、それと田畑に火を点けちまいました。収穫間近な見事な稲穂だったんだが。殿に村の税を免除してくれるよう、正信殿からも頼んでくれませぬか」
「それは、むしろ都合が良い。ならばこの件私が預からせて頂きます。それでは、そろそろ参りますので」 
 そう言い残し一瞥もせずに、正信は去っていった。都合が良い。北条方の旗指物を持っていたことなどから察するに、あの糞尿は井戸に投げるつもりなのだろう。田畑荒らし諸共北条兵の蛮行ということにして。
「虫の好かぬ奴です。殿が命懸けで止めたものを小細工で。下手を打てば殿が村民に恨みを買う」
 剣持の文句に敢えて反応は示さず、正綱は傍らで不機嫌そうに黙る小鹿の顔を覗き込んだ。
「殿、正信殿に手柄を横取りされますぞ」
「ふん、又五郎。お前と初めて話があった」
 不満そうな面の理由はそんなことだったか。反りが合わぬと小鹿を毛嫌いしていた剣持もしきりに頷いている。
「生きてこその手柄だろう。それに正信殿にも考えがあるだろう。新参者は口答えをせずに乗るのが吉だ」
「しかし、殿。我等の戦ですぞ」
 小鹿の言にも一理ある。だが殿の任は奪われた。手柄ならば何か別のことで……。
「ああ、そうだ。又五郎、右衛門。調略を頼めるか」
「どなたにですか?」
「武田家中で最も利に敏かった男」
 正綱の言葉に、小鹿はにやりと笑った。
「北条から引き剥がせれば、兵站線は一気に崩れましょうな。承知致しました、上田へと向かいましょう」
 よく理解していなさそうな剣持と僅かな兵を伴って小鹿は森の中へと消えていった。残された正綱は負傷兵を正信が寄越した救護部隊へと預け、軍を再編した。殿戦の後は山岳戦。気も滅入ってくるが、しかし正綱は笑いながら兵達を鼓舞した。
「さあ、面白き世を、戦を楽しもうか。笑うぞ、みんな」
 死ぬ瞬間まで何が起こるか分からぬ浮世だ。楽しまねばもったいない。故に、さあ笑え。

 後のことを少しだけ書き記しておこう。北条方はその後、駿河方面で行われた黒駒合戦で敗北。正信の思惑通り戦線は膠着し、大軍を動員した北条の兵糧問題が顕在化する。結果的に、豪族の日和見と真田昌幸の離反及びそれによる兵站線の崩壊により徳川と和解することとなった。
 正綱は此度の功により新参ながら大幅な加増を受ける。更に武田遺臣の取り込みを精力的に行い、家康の覇業を大いに助けた。だが、調略のために連日行っていた酒宴が祟ったのか、突如として病死してしまう。享年四十二。彼の遺臣を引き継いだ嫡男の岡部長盛が、関ヶ原合戦後要地である美濃大垣藩主に据えられるまでの大出世を果たしたのは、この時の正綱の奮戦があればこそであった。

獣にあらず2 信繁side

お久しぶりです。水空です。
前回の獣にあらずの続編、信繁さんの視点から書いてみました。
少しずつですが、前進していきます

―――

 馬に乗ると見えるものが増える。
 初めて鞍にまたがった日に武田信繁は高揚する気分と共に、馬と開けた視界とを結び付けた。
 家屋の屋根がよく見える。背の高い信方よりも目線が高い。届くはずのない雲にまで手が届く、そんな錯覚さえ覚えた。
 見えるものが増えたのは、なにも、高さによるものだけではなかった。
 人の交わりから離れ、目線は異になった。見えたのは新しい人の顔だ。
 愛想笑いに上っ面の悼み、にこやかな顔の裏に隠された妬み僻み。交わりの中にいては見えない顔が、馬上という隔絶された場所にあってうっすらと見えた。
 至近では決して見えなかった人の表情は、山の中にあっては知れない山脈の色彩を見た心地。
 今まで周りに合わせて表情を変えていたことがひどく滑稽に思えた。
 以来信繁は騎乗の鍛錬を朝の日課とするようになっていた。
 馬が好きというのもあったが、馬上から見える世界と、信繁という男の感情をはばかることなく露わに出来る時間が純粋に楽しかった。
 乗りこなせればもっと多くの世界が見えるだろう、知れるだろうという期待が、信繁を動かしていた。
 その日もいつもと変わらない朝だった。東から登る日を背に受け、従者を一人伴っての朝駆け。
 よい朝だ。雲一つない快晴。夏の訪れを感じさせるいくらか湿った空気にのって、鳥のさえずりが聞こえてくる。季節からして雲雀か山雀か。疎い信繁は、しばし考え込み、隣で馬を駆る才助に訪ねた。
「百舌でしょうな」
 禿頭をかきながら才助が答える。流石、亀の甲より年の功か。鳥に限らずこの老人に信繁は教わるものが多い。馬に乗る兄を傍で羨ましく眺めていた信繁に気付いたのも、父の信虎ではなく才助だった。
 目端が利く。それが信繁が才助を評する時に真っ先に使う言葉だ。幼少に患い隻眼になったと聞くが、半分の視界で信繁より多くをこの男は気付く。
「鳴き声だけで分かるものか?」
「そこまで詳しくは。ふと目に写った姿と音を結び付けただけです」
 そう言って才助は、山の麓にある木々を指差した。青々とした葉に紛れて鼠色の羽がある、気がした。
「よく見えぬ」
「書物の読み過ぎでしょう」
「お前には言われたくない」
 信繁が幾度読んでも分からぬ書物を片端から諳んじてみせる男に言われても、皮肉にしか聞こえない。特段、怒りはない。慣れた言い回しに、苦笑がもれただけだ。
「見えぬならば近く寄りなされ。鳥を驚かさずに馬を手繰る。信繁様に出来ますかな?」
 塞がった右目を指でとん、と叩きながら才助は言う。試すような言葉。
「いつまでも、童と思うな」
 売り言葉に買い言葉。値踏みするような才助の挑発は考え込まず、言葉通りに踊らされるのが吉だ。
「焦りなさいますな」
 毎度毎度聞かされる才助の言葉を流しながら、信繁は手綱を握り直す。
「焦るな、は耳にたこだ」
 馬の腹を蹴る。強すぎず弱すぎず。馬が首を縦に振り筋肉がわずかに強張るのが感じられた。
 加速する。狙い通りの速度だった。
 人と同じように馬にも癖がある。煽れば煽るほど駆ける馬もいれば、手綱を締めても腹を蹴っても従わない強情な馬もいる。
 この栗毛は類すれば前者だった。加速は易いが、制御には骨が折れる。少しでも信繁が手を抜けば、更に速く、と脚を回すだろう。
 馬に乗せられ昂っていく気持ち。努めて抑えながら信繁は手綱を弱く引き、急いた馬脚を押し止める。
 不服そうに鼻をならすが、焦る必要はないと信繁はもう一度手綱を引く。不承不承といったように栗毛はようやく信繁に従った。
 こんな初歩的なことも苦労していたのだな、と幼い頃を思い出す。
 はやる気はよく空気を伝う。それは獣を焦らせ、鳥を驚かす。そして人を焦らせ、無用の感を抱かせる。
 馬に乗るにあたって、常々才助に言われていたことだ。
 余裕の有り無しが万事を決す。まして兵を率いる将ならばなおのこと。
 その意味を幼い時分は十全に解さなかったが、武家の次男に生まれたのだから、という才助の強い言葉に頷き、分からないなりに当主の次男というものに徹してきた。
 父や家臣達からは賢い、賢い、と持て囃されたが、人並みに馬を乗りこなせるまでに三年。才助の言葉をようやく理解し始めたのがつい最近。馬を半年、七書を齢十二で読破した兄の方がよほど賢い。
 ただ、笑いたくもないのに周りに合わせて、人よりよく笑っていただけ。
 武田の次男坊を知る者は多くとも、武田信繁を誰が知っているというのか。
 だから、なのか。振り返り、後ろで悠々と信繁を追いかける才助を一瞥して思う。
 信繁がやすい挑発に乗りたがるのは、あの隻眼の老爺に認められたいからなのか。ともすれば、信繁はあの男に父を見ているのかも知れない。
 顔が綻んでいたようだ。気が付けば栗毛がまた加速を始めている。気の緩みを正すように、手綱を握りなおす。
 百舌がとまる木まで四十間程に近付いていた。近くにきて何かいるのは感じられた。しかし、百舌の灰の羽色は見つからない。
「おらぬぞ、才助」
「ようく目を凝らしなさいませ」
 追いついた才助が言うが、見えないものは見えない。
 じれったい。そう感じた信繁の内でふと、童のような下らない考えが浮かんだ。
 驚かすな、と才助は言った。だが百舌を見に寄ったのだ。姿を見せぬならば少し驚かしてみよう。鳥と、才助もついでに。
 手綱を緩め、再度馬の腹を蹴る。
 待ちかねた、とばかりに栗毛は信繁の激に嬉々として乗った。
「信繁様?」
 驚く才助の声は無視して、騎乗に専心する。
 揺れる馬の背。姿勢を前屈みに、体を密着させ、受ける風を減らす。
 たてがみに体を預け、信繁は自身と馬の息遣いを重ねた。
 人馬一体の域には程遠い。それでも、信繁は獣になったようだと錯誤する。馬と息を合わせ、同じ目線で世界を見る。
 やはり、百舌は見えない。
 だが見えたものが、一つ。
 風の動きに逆らって、揺れた葉。蹄の音に反応する鳥はおらず、獣の息遣いもまるでしない。人だ。木の後ろに広がる草木の中、姿は見えぬが少なくとも二人以上がいる。
 信繁は測り兼ねた。村は遠く、田も近くにはない。そして、何故気配を殺して潜んでいるのか。
 訝しむ、が判断しかねた。馬の背に身を預けた信繁は、潜む二人へ意識を向け、百舌がいるらしい木を通り越した。
 それが、致命的な過ちだった。
「伏せろ」
 後ろから鋭い声。才助か。信繁は咄嗟に身を屈めた。
 その信繁の頭上を、側方から放たれた何かが掠めた。
 釣られた、木の後ろに隠れていたらしい刺客の気配を背後に感じ信繁は己が軽率さを悔いた。才助の言葉がなければ殺されていただろう。
 上体を起こしながら、四方に素早く目を向ける。潜んだ二人が信繁へ向けて飛び出す。手には暗器。止まれば、取られよう。平地へ向けて駆け抜けるのが吉か。
 滑走を続ける栗毛。しかし信繁は手綱を引き締めた。
「ちっ」
 短い舌打ちが聞こえ、信繁が走る筈だった場所へ短刀が振り下ろされた。間一髪。漏れ出た殺気のせいか、馬の筋肉が強張ったことに体が反応出来た。
 不意の制止に、栗毛はいななきと共に後脚で立ち上がる。致命的な棒立ち。無防備をさらす信繁へ好機と駆け寄る刺客二人。
 万死一生を手繰り寄せたのは生きよと叫ぶ本能か。信繁は日頃扱い慣れぬ刀を見もせずに後方へと振り抜いていた。
「ぐっ」
 短い悲鳴。手応えは浅く、一人捉え損ねた。間に合うか。体勢を立て直そうとする信繁に、再度肉薄しようと駆ける刺客。
 その顔へ向けて放たれたのは、隆々とした筋肉を付けた栗毛の後脚だ。態勢を立て直した栗毛の蹴撃に鈍い音を立て、刺客は後方へと蹴り飛ばされた。
 場が凍った。その瞬を逃さず信繁は、叫ぶ。
「主ら、ここが武田の膝元と知っての狼藉か! 弱卒ならばいざ知らず、武門の誉れ、武田に弓引くは命惜しまぬ愚行と知れ」
 信方や虎泰に比べれば決して大きな声ではない。だが、静まり返った森の中では、信繁の声はよく響いた。その凛とした面持ち故にか、敵の手が止まった。
 危機を脱した訳ではない。
 速度を失した馬。武器は佩いた刀のみ。位置も悪い。蹴り飛ばされた刺客は再起不能のようだが、残り三人に囲まれる形になった。
 せめて後方にいる才助だけでも、そう口を開きかけた信繁にかぶせて声を出したのは、他でもない才助だった。
「違えるか、百舌」
 激した声。五つの時より共にいるが、ここまで怒りを露わにした声を信繁は聞いたことがなかった。
「違えるつもりは。晴信様のため、と予め申した筈です」
 それに答えたのは最初に信繁を襲った男だった。なりは小さく、端正な顔立ちをしている。場が場ならば、信繁は女と間違えたやもしれない。
 百舌と呼ばれた男は、才助の圧にまるで動じた様子はなく淡々としている。
 憎悪露わに百舌を睨み付ける才助。信繁一人、事情を飲み込めていない。しかし一つ分かるのは、
「違えた、とはどういう意味だ才助。お前が彼等を手引きしたのだな?」
 百舌と才助が謀り、信繁を誘い出したということ。
「決してたばかった訳では」
「不徳と言えど、虚偽は申すな。才助、お前に教えてもらったことだ」
 黙る才助を、視界の端へやり、信繁は百舌に向き直る。
「まず、武器を下ろしてくれ。目的によっては話を聞く」
 百舌は信繁の暗殺をしにきた訳ではなく、才助が意味もなく賊と共闘する筈もない。ただ達すべき目的の手段として信繁の殺害があったのだろう。そう判断した信繁は自らの刀を収め下馬すると、百舌に交渉の余地があることを伝える。
「武田家の家督相続について、で御座います」
 百舌は仲間へ目配せし獲物を仕舞わせ、短く、朴訥とした様子で語った。
 しかし、信繁はその言葉にすぐに納得は出来なかった。家督継承の順位を変えたいのならば、まずは兄晴信を狙うのが道理だと考えたからだ。
 ともかくも何処の手のものかを知らねば話にならない。同盟関係にある今川は考えづらい。ならば、
「北条の手の者か」
 信繁の追及に、百舌は眉一つ動かさない。違うようだ。
「……武田の間者に御座います」
「身内か。誰に仕えている」
 話進まず、才助に聞けば、あるいは、と思った矢先、百舌が重い口を開いた。
 その言葉にじくりとした胸の痛みを感じながらも、信繁は冷静を装う。そうする必要がある人間がいた。それだけのことと思えば――
「晴信様に」
「――嘘を申すな」
 底冷えのするような言葉が気が付けば信繁の口から出ていた。
「兄上が私を殺せと命令したのか? 家督相続のために? 下郎が、戯言を申すでない!」
 取り乱すものか。そう構えていた信繁に敬愛する晴信の名はあまりに衝撃が大きかった。
 そもそも、信繁の死と兄の家督相続、その因果からして理解が出来ない。もしや、兄は家督を奪われることを恐れているのか。いやしかし、家督は長男に、それが武家の習わしであって、そのことを疑うことすらしなかった信繁は叛逆の意志など欠片ほども持ち合わせていなかった。
 そんな信繁の混乱を余所に、百舌はやおら四肢を地面につけ恭順の姿勢を見せた。
「信繁様、此度の一件、全て手前の一存に。晴信様には何らの咎も御座いませぬ。打ち首になり如何様にも。しかし、晴信様が甲斐守護を得るため力を貸して下さいませぬか」
 勝手が過ぎる。信繁は平伏した百舌の顎を、思わず蹴り上げたい衝動にかられた。間者風情が独断で、兄のため、と称した蛮行にはしり、次は何の説明もなしに信繁の力を貸せという。百舌の身勝手な振る舞いに、怒りをそのまま吐き散らそうとし、堪えた。何故自身の死が兄の家督に繋がるのか、それをまだ聞いていなかったからだ。
「……私を殺せば、兄上が家督を得られるのか?」
「晴信様は信繁様に家督を奪われるのではないかと恐れております」
「誰がそのようなこと」
「信虎様が晴信を廃嫡するとの噂が。信繁様さえいなくなれば、あるいは、と」
 それはあまりにも性急なのでは、と信繁は百舌の行動に少しばかり疑念を抱いた。信繁に家督を譲るという噂が流れた土壌には兄と父との不和が大きく関係していよう。例え信繁が死に、噂が嘘だったとしても、
「私が死んでもすぐには家督は継げぬぞ」
 父は素直に兄に家督を譲るまい。
「ええ、分かっております」
「では、何故――」
「信繁様がいなければ、晴信様の惑いを断ち切れる。そう判断したためです」
 惑う。その言葉に信繁は眉をひそめた。およそあの兄には似つかわしくない言葉だと感じたからだ。違和を飲み込めないままの信繁に、百舌は計画の一端を明かす。
「家督簒奪の手取りは既に整えております。晴信様の合図があれば国境を封鎖する手筈は整っております。父君、信虎様には今川領にて隠居して頂きます。その後抵抗するものを抑え兵権を掌握します」
「同心する者はいるのか」
「既に飯富兵部、原美濃、板垣駿河、甘利備前はじめとした諸将が賛同しておられます。あとは晴信様が決断するだけで家督簒奪はなりましょう」
 飯富兵部虎昌。父に降伏した男の名はすんなりと理解出来たが、甘利、板垣の宿将までもが不満を抱いていることには少なからず驚いた。
 近頃武田は急激に大きくなっている。同時に多くの敵を、無辜の者をも犠牲にしてきた。その歪みが出始めているのだろう。武技に、政に秀でた兄ならばその混乱を収められる。数刻前までならば、信繁は何の迷いもなく百舌の提案にのっただろう。
「晴信様は迷っておられます。信繁様と自らを比べ果たして本当に屋形として相応しい人物なのかを。しかし時がありませぬ。その背を押すためならばこの百舌の命、使い潰したとて後悔はありませぬ。故に信繁様、どうかお力を貸して頂けませぬか」
 だが、深々と頭を下げた百舌を見て、信繁は急速に熱が引いていくのを感じていた。
 ふとした瞬間、まばたきの間に通り過ぎる僅かな時間。武田信繁の思考によぎるものがある。
 もし武田晴信という人間が存在しなければ、という仮定。
 何の意味もない考えで、時間の空費。だが何度も、何遍も、無意味だと知りつつ思考は回る。
 武田晴信に対して武田信繁は、追いつきたいという憧れがあった。煌びやかな才への嫉妬があった。決して追い付けないだろうという諦観があった。
 信繁の視線の先にはいつも武田晴信がいて、兄の背を追い続けることしか出来なかった。
 だからこそ考えずにはいられなかった。兄がいなければ、得られたであろう全てを手にした自分。こんな疎ましい思考に時を費やしてでも夢想せずにはいられなかった。
 それでも、武田信繁には晴信の弟であるという自負が確かにあった。届かずとも弟であるが故に誰よりもそばにいれる。そう考えていた。
 しかし今聡明な筈の兄が、家督は信繁に、などという出自も定かではない噂に踊らされている。あの父ならばやりかねない。孕んだ婦人の腹を裂いて未児を取り出すような狂人だ。だが信繁が憧れを抱く晴信と噂一つに心乱す暗愚な晴信、その姿の乖離が思考を鈍らせる。
 長い、沈黙があった。頭をたれて必死の請願を行った百舌は生きた心地がしていないだろう。
 いや、もしかしたらこの男は見えぬのをいいことに舌を出しているかもしれない。主の弟を才助と謀り、独断で重臣達が企む父上に対する叛乱を暴露する。このふてぶてしさ。あわよくば信繁を排除しようとした強かさ。
 この場で斬れ。信繁の内なる声が囁く。統制能わぬ間者など手に余るだけだ。
 だが、本当に使えぬのか。武田に仇なすなまくらならば、いらぬ。兄ならば、どうか。この男は信繁が使えぬだけで、岩をも断ち切れる名刀であったならば。
 解のない問いに思考を巡らし、やがて信繁は、決して大きくない声で告げた。
「百舌、頼みがある」
「はっ」
 決意を滲ませた視線が信繁を捉える。固い信念が伺える、いい目をしていた。同時にやはり、危ういとも思う。
 異常の種となる。主に尽くす。命を賭すまでに純粋で強いその念は、純粋過ぎるが故に禍を招くやもしれない。
 一抹の不安が信繁の胸に巣喰う。それでも信繁は、言葉を留めることはしなかった。
「甘利、板垣両将に伝えよ。『折より進言せし、虎狩りの仔細詰めたく、本日巳の刻までに武田屋敷に参られよ』と」
 虎狩り。その言葉に百舌は敏感に反応した。
 しばしの逡巡の後、一礼を残し百舌とその従者は、顔が潰れた仲間を背負い木々の中へと入っていった。人の気配が獣の気配に変わり、徐々に遠ざかっていく。忍びとは音もなく霞のように消えるのだと思っていたが、どうやら違うようだ。
 完全に気配が感じられなくなるのを待って、信繁は長い息を吐いた。
「才助」
「はっ」
「お前は誰の味方だ?」
 後ろにいる才助には振り向かず、信繁は短く問うた。
「信繁様に御座います」
 返す才助の言葉も簡潔だ。
「武田にではなく、この信繁にか?」
「無論」
「何故だ?」
 わずかな間。
「……信繁様はよく己の弱さを知っております。それ故」
 弱さ、か。信繁は才助の言葉を胸の内で反芻した。暗に批判されてもいるのだろう。だが、仕える理由として、強さをあげられるよりはよっぽど信用出来る。
「武田が欲しいか、才助?」
「信繁が望みますなら」
 望むならば。才助は言った。望むまい。兄が欲したものを奪える程器量よくはないのだから。
 だが、もし仮に信繁が知らぬ晴信がいるというのならば。
「虎狩り、か」
 百舌へ放った言葉が、糸を引くように思い出された。
 武田の行く末がため、虎を狩るべきか、虎の子を狩るべきか。未だ心は決めかねている。




あとがき
 ちなみに百舌君は武田二十四将のとある人の若い頃を描いています。彼が暴挙に走るのは晴信様への愛ゆえです。これで誰だか分かった人は結構歴史好きだと思いますよ(笑。

まあ、そんな日もあるよね

たまに目線を上にあげて見ると、面白いものが見えたりする。
今は夏だからセミが多かったりするのだが、入道雲だったり、誰かが手放した赤い風船だったり、セミがカラスに喰われていたり……。最近では都心で猛禽のノスリなんかも見かけたりした。
(都会でも案外猛禽とか鳥は見れるんですよ。なんでもビルを山や森と勘違いしているらしいのですが)
単純に空を見上げて、なにもなくても青一杯の空があるだけでも仰いだ価値はあると私は思うし、木々からこぼれる木漏れ日を楽しむのもいいものです。
そこで、私からのお願いと提案を一つずつ。
スマフォをいじりながら歩くのはやめて。あなた自身も危ないし、周りもすごく迷惑しています。前が見えているからいいじゃない、と言ふ人もいるけれど耳にはヘッドフォン、目と指は忙しなく更新される液晶画面に釘付け。聴覚障害の友人がいるのですが、その子よりもハンディキャップ背負ってます。進んで五感を封じてくるとは、鹿之助もびっくりのドMぶりです。七難八苦ですか。(しかも自覚なしだから質が悪い)。もし怪我しても自業自得、怪我させた日には……。
だから、提案。スマフォの代わりに前を見て、たまに空を、見てみませんか。意外と知らない発見があるかもですよ。コツコツと音がした方を見てみればコゲラが木を叩いてたり、変な形の雲が見つかったり。流石に空から女の子が降ってくることはないでしょうけどw
歩くのはつかれるけども、歩いて見なければ分らないことも多いんです。


歩きスマフォに足を踏まれて、謝りもされず舌打ちされたのでカッとなって書きました。(今度会ったら「スマフォ見ながら歩かないと死ぬの?」と煽ってやりたいですね)
スマフォが人生じゃないんですから、前を見ましょうよ。そんな記事です。

これを機にちょくちょく更新できるとイイデスネ


就活中

現在就活中で、更新滞っております。
どうも水空です。

カウンターが最早置物とかした我がブログ。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

先日合同説明会に行ってきた際に思ったことを一つ書きたくて久しぶりにキーボード叩いてます。

情報収集や気晴らしもかね久方ぶりに合同説明会に行き(ネット用語だと豪雪というらしいですね。勢い的には間違っていない気はしますw)

そこでとある企業さんのブースに立ち寄り、お話を聞くことにしました。

お話はとても面白かったのですが、
問題は私の隣に座ったとある学生。

最初私が社員さんにいろいろお話を聞いていたのですが、
後からその方が来場。

それはいいんです。みなさんお話を聞きにいているんですから。

驚いたのは彼の恰好。
リクルートスーツなのは当然なのですが、
まず第一にスーツの襟が立っている。
第二にネクタイがしっかり結べておらず、ネクタイをつけるときにある後ろの細い方がぶらぶらしている。
そして靴下が白(これはそうするものだ、ということでなんでダメなのか私は良く分からないのですが)

あまり、悪しざまに書くつもりはないのですが、その方周りの方に「もう内定はありますか?」
とやたら内定を気にしている様子。


…………身だしなみは大事なのだなと、反面教師として学ばせて頂きました。
プロフィール

水空陽凪

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